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不動産賃貸借の連帯保証の極度額について

すでにご存じの方も多いかと思いますが、令和2年4月1日施行の民法改正により、不動産賃貸借の連帯保証について、極度額(限度額)の定めが必要になっています。
当職の2020年2月10日付ブログ
でも触れましたが、改めて書いておこうと思います。

賃貸でマンションやアパートを借りる際、連帯保証人を付けるように言われることが一般的ですが、以前は借主が滞納した賃料について、どれだけ金額が膨らんでも全額連帯保証人に請求されていました。
しかし、借主が何年も滞納してから連帯保証人に請求された場合、連帯保証人としては、いきなり多額の請求をされることになってしまいます。それでは連帯保証人に酷な結果になるため、そのように何年も滞納してからいきなり連帯保証人に多額の請求をすることは信義則上無効という裁判例もありました。
そのため、根保証的な性質を持つ連帯保証については、予測可能性を担保するために、極度額を定めておかないと無効という改正になりました。
したがって、今、不動産賃貸借で連帯保証をする場合は、契約書に、必ず極度額または極度額を定める方法(例えば「契約時賃料の1年分を限度とする」など)を記載する必要があります。

極度額がいくらまででなければならないという決まりはありませんが、相場としては契約時賃料の1年分ぐらいかと思われます。あまりに大きい金額を定めると、それはそれで定めていないのと同じことになるので、裁判所の判断で無効とされる可能性があります。