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エンディングノートと遺言書

人生の終活の1つとして、エンディングノートというものが売られています。
エンディングノートは、自分の子や相続人などへ向けて、自身の財産の詳細や葬儀などの希望、残された人へのメッセージ、パソコン・スマホに関するIDやパスワードなどを書き記すことができるノートのことです。
このエンディングノートと、いわゆる遺言書は何が違うのでしょうか。

遺言書は、民法で定められた形式・内容で作成し、相続財産の帰属を中心に、書ける内容が決まっています。
例えば自宅不動産を〇〇に相続させる、□□銀行の預金を△△に相続させるといった内容となります。
それ以外の内容、例えば残された人へのメッセージなどを書くことができないわけではないですが、法的な効力は特にありません。

エンディングノートは、上記のように残された人へのメッセージや葬儀の希望など、相続財産の帰属以外に関しても様々に記載することができますが、エンディングノートそのものに法的な遺言書としての効力はありません。あくまで、残された人に対して知っておいてもらいたいことを書き記すといった性質のものとなります。

したがって、残された相続人に対し、相続財産をどのように帰属させたいか、帰属させたくないかといった、遺産分割に関する希望がある場合は、法的な遺言書を作成する必要があります。エンディングノートでは足りません。

逆に、残された人へのメッセージや、葬儀の希望など、細かな内容は、遺言書とは別に、エンディングノートなどに残しておくと、相続人らに思いを伝えることができます。
特に、最近は預金口座や契約関係がパソコン・スマホによる管理でログインが必要なケースが増えています。そういったIDやパスワードなどを何らかの形で書き記したものを残しておかないと、死後に相続人が困るケースもあります。したがって、そのような場面では、エンディングノートが役に立つと考えられます。