公益通報者保護法について
近時、兵庫県知事に関するニュースなどで、公益通報制度が話題になりました。
公益通報制度について定める公益通報者保護法は、企業の不正行為を内部で知った従業員などが、不正の事実について通報しやすくし、それによって不正行為をなるべく事前に防ぎ、ひいては取引先や消費者なども保護するといった目的のために作られた法律です。
2022年6月1日から改正法が施行され、常時使用する従業員数が300人を超える企業に対しては、内部通報に対応できる体制整備などが義務付けられました。
過去には食品偽装、賞味期限改ざん、マンションの免震ゴムの性能偽装などが発覚し、最近では自動車メーカーの性能認証の不正が発覚しましたが、それらは内部からの通報で発覚しました。
公益通報者保護法は、そのような内部からの通報を行いやすいように、内部通報に対応する窓口を作る必要があること、企業が通報者を特定したり、通報者に対して解雇などの不利益を課さないようにすることなどを定めています。
また、一定の要件の下、通報者の判断により外部窓口である行政機関やマスコミなどへ通報した場合においても、通報者が不利益を受けないよう保護されるための要件などが定めてあります。
内部通報は企業にとって都合が悪い内容を含むことが多く、経営陣にとっては「隠しておきたい」ことでもあるかと思います。しかし、法に反するような不正行為が行われていた場合、いずれ明るみに出る可能性が高く、明るみに出た場合の企業に対する信頼の毀損は大きなものとなります。
むしろ、内部通報があった時点で、適切に調査を行い、できるだけ早期に不正行為を排除しておくことで、企業価値の毀損をできる限り防ぐことができると考えられます。
公益通報者保護法が定める従業員数300人以上の企業においては当然のことですが、それに満たない企業であっても、内部での不正行為などについて、従業員から相談があった場合は、一時の利益に流されず、適切な調査を行い、対応をしていただくことが、長い目で見た場合に、企業の寿命を延ばすものと考えられます。