幾波法律事務所公式ブログ

調停前置主義

法律上の離婚事由として、民法770条は、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と定めており、これらの事由があるときは、離婚の訴えを提起することが出来ると定められています。

しかし、これらの事由があったからといって、直ちに離婚訴訟が提起できるわけではありません。
家事事件手続法257条は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならないと定めています。
つまり、民法上の離婚事由があったとしても、まずは離婚の調停を申立てて、そこで話し合いを行い、不成立になった場合(相手方が出頭しない場合も含む)に、初めて訴訟提起できることになります。

これは、離婚や相続などの家事事件については、いきなり裁判官が判断を下すより、なるべく話し合いによる合意で解決を目指すべきという考えに基づくもので、話し合った結果、それでも解決できなかった場合に、裁判官が判断を下すという制度になっています。