相続と遺産分割④
今回は、遺言の効力と遺留分についてお話ししたいと思います。
遺言において、遺言者は、自らの財産につき、誰にどのように相続させるといった内容を定めることができます。遺言で書かれた内容は、法定相続分と異なっていてもかまいません。むしろ、通常はそのために作成されるものと思われます。
例えば、相続人として子供が3人おり、長男はとてもよく面倒を見てくれたが、次男と三男は家にも寄り付かず、あまり面倒を見てくれなかった場合、法定相続分どおり3人に平等に相続させることに抵抗があったとします。そのような場合に、長男に多めに相続させ、次男と三男には少なめに相続させる内容で遺言書を作成するといったことは、実際によくあります。
しかし、少しぐらい長男が多い場合は納得できたとしても、例えば全部の財産を長男に相続させるといった遺言書が作成されていた場合、次男と三男は何も言うことができないのでしょうか。
その場合の定めが、遺留分です。
遺留分は、遺産の一定割合について、遺言によっても奪われない権利として保証されているものです。
遺留分の割合として、民法は、原則として相続財産の2分の1と定めており、直系尊属(被相続人の親、またはその親)のみが相続人となる場合は3分の1と定めています。
上記の相続人が子供3人の例で、長男に全ての財産を相続させるという遺言書があったとしても、次男と三男は、それぞれ本来の法定相続分である3分の1のさらに2分の1、すなわち6分の1ずつは、遺留分として保証されます。したがって、全部を相続する長男に対し、それぞれ6分の1ずつ寄こせと請求することができます。
この請求を、遺留分減殺請求といいます。
ただし、
で書きましたが、令和元年7月1日から、民法改正により、それまで遺留分減殺請求とされていたものが、遺留分侵害額請求へと変更されました。
詳しい内容は当該ブログを見ていただくとして、簡単に述べると、それまでは相続財産のうち何割を渡せという請求ができたものが、改正後は、遺留分に相当する金額を金銭で請求するように変更されています。
次回は、遺産分割の具体的な手続についてお話ししたいと思います。