義務者が仕事を辞めた場合、養育費は減額されるか
子供がいる夫婦が離婚し、夫婦の関係が解消されたとしても、子供との関係では親子であることに変わりはありません。
したがって、離婚後の子の親権をどちらが持つかどうかに関係なく、父母双方で子の養育費を負担する必要があります。
個々のケースにおいて、父母のそれぞれがいくらの養育費を負担すべきかは、子供の人数、年齢、父母双方の収入に応じて決められます。その際の基準として、算定表という表があります。
算定表を見ると、父母双方の収入に応じて、いくらの養育費が相当であるか、一目で分かるようになっています。
あくまで、双方の収入が大きなポイントになります。
子供が小さい場合、母親は子育てのために仕事を辞めているケースも多く、収入が少ないことが多いのに対し、父親の方は、正社員として勤務し、それなりの収入があることが多いです。そのため、一般的には、父親から母親に対し、毎月一定額の養育費を支払うケースが多いかと思います。
ところが、養育費を支払いたくないと考えた父親が、双方の収入で養育費の額が決まることを悪用し、離婚が決まったとたん、仕事を辞めてしまったとします。
そうすると、収入は0になるので、養育費は支払わなくてよい…ということになるのでしょうか。
実は、そうはなりません。
本当に働けなくなったり、職場が倒産するなどして収入を失った場合は、養育費の算定に影響しますが、働けるにもかかわらず、養育費を払いたくないために仕事を辞めた場合は、辞める前の収入を基準として養育費が算定されます。
その意味では、裁判所は現実の収入よりも、本人の稼働能力を重視していると言えます。つまり、本来自分が持っている能力をきちんと使えば、このぐらい稼げるはずだということです。
したがって、自分から職を手放しても、養育費の算定では有利にはならないので、そういったことはなさらないようにお願いします。