破産手続の基本的な流れについて(3)
前回からの続きとして、今回は破産管財事件の流れをご紹介したいと思います。まずは、事業者を除く個人の管財事件についてご紹介します。
事業者ではない個人の方で管財事件になる場合は、不動産や一定以上の預貯金・保険解約返戻金などの財産をお持ちか、ギャンブルによる浪費等で裁判所が管財人の監督が必要と判断した場合になります。
<事業者を除く個人の管財事件手続>
①弁護士に破産手続きを依頼すると、弁護士から各債権者へ破産準備に入った旨の通知を送付します。
公租公課を除いて負債の支払を止めていただきます。
②弁護士の下へ債権者から債権調査票が返送されてきます。
一般的に通知から約1ヵ月程度で返送されます。
③弁護士により申立書を作成します。
預金通帳、光熱費領収書、保険証券等、資料を準備いただきます。
不動産をお持ちの場合、固定資産評価証明書を取得していただきます。
登記事項証明書を取得し、不動産業者へ現在の市場価格について査定をお願いします。登記事項証明書の取得、不動産業者への査定依頼は、弁護士の方でも行えます。
④裁判所へ申立書を提出します。
⑤裁判所により破産管財人候補者が選任され、候補者と調整の上、破産手続の開始決定日が決まります。
破産管財人は、破産者の申立内容や財産を調査したり、換価・回収できるのにされていない財産があれば換価・回収を行い、配当が可能となれば配当手続を行う役割の方です。裁判所が弁護士の中から選任します。
申立を行う弁護士は破産者の側の弁護士ですが、破産管財人はいわば裁判所側の弁護士ということになります。
⑥破産者及び申立代理人が、破産管財人と面談します。
内容について聴き取りが行われたり、必要な資料の引継ぎを行います。
⑦破産管財人による財産調査、換価・回収手続などがなされます。
⑧裁判所で債権者集会が開かれ、破産管財人による報告がなされます。
通常、開始決定から約3ヵ月後に1回目の債権者集会が開かれます。
管財人の業務が少なく、配当手続も行われない場合は、1回目の債権者集会で手続が廃止されることもあります。
破産者が不動産を所有している場合は管財人が売却手続を行いますので、その場合は1回目の債権者集会で終わらない場合が多いです。
⑨管財人による財産調査等を経て、配当するだけの財産がないことが判明した場合、破産手続は廃止(終了)となります。
管財人による財産調査等により、配当するだけの財産が形成された場合は、各債権者に対し、債権額で按分(債権額が多い人には多く、少ない人には少ない、金額に比例した弁済方法)した配当が行われ、破産手続は終了します。