法定刑を超える判決
令和3年2月9日のニュースで、東京地裁の裁判官が、法定刑の上限が2年の罪に対して、2年6か月の懲役(執行猶予付)を言い渡したニュースがありました。検察官が誤って法定刑以上の求刑を行い、裁判官も見逃してそのまま言い渡したようです。
刑事裁判ではまず検察官が求刑として量刑に関する意見を述べ、弁護人が反対の立場から検察官の量刑に対して意見を述べ、両者の意見を聞いた裁判官が最終的に量刑を決定します。
したがって、仮に検察官が誤って求刑をしたとしても、普通は弁護人が気づいて反対の意見を述べますし、万一弁護人が気づかなかったとしても、最終的に法を適用して判断をする立場である裁判官が、正しい量刑で判決をするしくみになっています。
今回のケースは本当に珍しいものといえます。
裁判官も人間ですので、激務の中で見落としたということでしょうが、人の人生を左右する仕事ですので、2度と起こしてはいけないミスといえます。
我々弁護士も、1つ1つの法律を丁寧に確認することの重要性を再認識させられる出来事でした。