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消滅時効と民法改正

平成29年に民法の一部が改正され、令和2年4月1日から施行されています。その中でも消滅時効に関する規定は大きく変更されています。

すでに施行から3年ほど経過しましたが、重要なところなので、時効について再度確認しておきたいと思います。

 

消滅時効とは、一定期間、権利を行使しないことで、権利が消滅する制度です。

なお、一定期間が経過すると自動的に権利が消滅するのではなく、請求された相手方が、「時効なので支払いません」と述べることで、権利が消滅します。この「時効なので支払いません」と述べることを、時効の援用といいます。

 

従来は、一般的な債権(貸金の請求権、売買代金の請求権など)は、権利行使できる時から10年間で時効となっていました(改正前民法167条1項)。また、短期消滅時効といって、より短い時効期間が定められている債権もありました(医師の診療報酬、工事の設計管理の報酬などは3年、生産者・卸売・小売の商品代金は2年など)。

しかし、改正後は、短期消滅時効は廃止され、債権は原則として「権利を行使することを知った時から5年間行使しないとき」または「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」には時効となることが定められました(民法166条1項)。

 

また、不法行為に基づく損害賠償請求は、原則として「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき」または「不法行為の時から20年間行使しないとき」と定められています(前者について、人の生命または身体を害する不法行為の場合は知った時から5年間行使しないとき)。

 

さらに、上記のように時効期間が5年や3年のものであっても、裁判や調停で確定した権利、すなわち確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、時効期間は10年となります(民法169条)。