幾波法律事務所公式ブログ

相続

相続手続に必要な戸籍等

亡くなった方の相続手続をするにあたり、戸籍謄本等が必要になりますが、具体的に何が必要なのでしょうか。 役所への届出、住んでいた住居の電気・ガスなどの解約、携帯電話の解約など、相続人としてはすることがたくさんあります。他方、手続において、あなたが亡くなった方とどのような関係の方なのか、また、名義人が実際に亡くなったのかどうかなど、手続の相手方においても資料を見せてもらわないと分かりません。 特に、預金の解約、払い戻...

会ったことのない相続人

ある人が亡くなった場合、法定相続人として、配偶者のほか、第1順位は子、第2順位は父母、第3順位は兄弟姉妹と定められています。 例えば父親が亡くなった長男(Aさん)という立場で遺産分割を考えた場合、一般的には他の兄弟や母親と協議することになります。ところが、父親が今の母親と結婚する前に、別の女性と結婚したことがあるとします。その女性との間にも子供がいる場合、その子供も法定相続人となります。Aさんから見れば、腹違いの兄...

相続登記の義務化と経過措置について

すでにご存じの方も多いかと思いますが、令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。相続登記とは、不動産所有者が亡くなった場合に、相続人へ登記名義を変更することをいいます。   登記はその不動産を誰が所有しているかを示すものですから、亡くなっているにもかかわらず名義が変更されていないと、現在の本当の所有者が分かりません。 これまでは所有者が亡くなって相続登記をせずに放置していても、特に罰則はありませんでした。...

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて②

前回のブログにおいて、相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて、一般論を述べました。 原則として受取人指定の死亡保険金は遺産にカウントされないが、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には、死亡保険金を遺産に持ち戻すように命じるのが最高裁判例の考え方です。 その明確な...

相続における死亡保険金と遺産への持ち戻しについて①

生命保険の死亡保険金を受取人指定していた場合、遺産分割の対象にならないという話を聞いたことがあるかと思います。   例えば父親が亡くなって、兄弟が3人いるにもかかわらず、生命保険の死亡保険金の受取人を長男に指定しているということがあります。 この場合、父親の遺産分割において、兄弟3人の法定相続分は3分の1ずつとなるはずですが、この死亡保険金については原則として遺産分割の対象とはなりません。 すなわち、遺産とし...

遺言書の検認

遺言書の検認という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。 遺言書は、遺言の作成者が遺言の全文、日付、氏名を自筆で書いて押印する自筆証書遺言や、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言などいくつかの種類があります。 そのうち、公正証書遺言以外の遺言については、家庭裁判所で検認という手続が必要です。 (遺言の種類・要件については、以前にも詳しく書いたことがあります。こちらをご参照ください)   検認は、...

自筆証書遺言の日付について

自筆証書遺言とは、民法で定められた遺言書の作成形式の1つで、遺言者が全文を自筆で書き、作成した日付、氏名を記入し、押印するものです(民法968条1項)。全文自筆、日付・氏名の記入、押印のうち、1つでも欠けると遺言として成立しません。 その自筆証書遺言をめぐり、令和3年に興味深い判決がありました。 遺言者が、入院中の平成27年4月13日に、遺言書の全文、同日の日付、氏名を記入し、退院後の同年5月10日に、弁護士の立...

相続で、亡くなった父親が寄付をしていた場合

今日のヤフーニュースで、病院で亡くなった父親に3億円を寄付させたのは公序良俗に反し無効だとして、病院と主治医を相手に損害賠償請求したケースが紹介されていました。 ヤフーニュースはこちら   遺族からすると、父親が相続人でもない病院に対し、3億もの寄付をするはずがない、病院がさせたのだろうと考えています。 病院の方は、正当な手続を経て寄付金を受け入れていると主張しています。   このようなケースは、例えば兄...

相続と遺産分割⑥

今回は、相続放棄についてお話したいと思います。 相続放棄とは、被相続人の法定相続人である者が、相続しない意思を家庭裁判所へ申述する手続です。 家庭裁判所へ申述することが必要ですので、例えば書面に「自分は相続を放棄する」と書いて実印を押したとしても、それだけでは相続放棄したことにはなりません。 遺産分割協議の中で、自分は遺産は受け取らないと記載し、他の相続人が取得する内容に同意する協議書を作成し、押印したとしても...

相続と遺産分割⑤

今回は、遺産分割の具体的な手続についてお話ししたいと思います。 遺産分割は、相続人の間で、遺産を具体的にどのように分けるのか決めることです。被相続人が亡くなった場合、普通、遺産として、預貯金、不動産、自動車、有価証券など、様々なものがあります。 それらを相続人のうち誰が、どのように、いくら取得するのかということを決める必要があります。 例えば銀行預金は、名義人が亡くなった場合、相続人の1人が払い戻しの手続を行っ...