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離婚の際に決めなければならないこと②

今回は、離婚の際に決めるべきことの中身について、具体的に述べたいと思います。

 

(1)財産分与

財産分与は、婚姻期間中に築いた夫婦共有財産の分割です。原則は夫婦で2分の1ずつに分けます。

不動産、預貯金、有価証券、生命保険契約などについて、形の上で夫婦どちらの名義になっていても、婚姻期間中に築いたものであれば、夫婦が共同で築いたものとされ、分与対象になります。

基本的には離婚の時に夫婦双方が各自の名義の財産を開示した上で、全て合計し、2分の1に分ける計算がされます。

ただし、夫婦が共同で築いたことが必要なので、例えば夫婦の一方が親から相続した土地などは除かれますし、途中から婚姻関係が破綻して別居し、家計も別々になっているような場合は、別居した時点の財産を2分の1に分けます。

 

(2)養育費

子供がいる場合、離婚しても夫婦双方の子供であることは変わりありません。離婚によってどちらかが親権を持ちますが、親権を持たなかった方も、自分の子供として養育の責任があります。

養育費の金額は、子供の人数、年齢、双方の収入に応じた相場があります。一般的には裁判所が定めている算定表を利用して、月額いくらと定めます。支払う期間は通常20歳までですが、最近は子供が大学に進学することが普通になっているので、大学卒業までは養育するものとして、22歳となった最初の3月までといった決め方もよく見られます。

養育費の相場については、少なすぎる、そんな金額で子供が育てられないという声もありますが、養育費は子供にかかるお金を相手が全部出すというものではありません。親権者となった方が引き取って現実に育てていることは金額に考慮されますが、あくまで両方の子供なので、こちらも収入に応じて相応の負担は必要という考え方で作られています。したがって、相手方が支払う金額のみで育てるという考え方にはなっていません。

 

(3)婚姻費用

厳密には離婚の際に決める金銭ではないのですが、夫婦の関係がこじれてから、それまで相手方配偶者から受け取っていた生活費を受け取れなくなったというケースがしばしばあります。

しかし、婚姻中は、相手方配偶者や子供の生活費について、収入に応じて分担しなければならない義務があり、その支払う生活費のことを婚姻費用といいます。

仮に別居していても、結婚している以上、夫婦の生活費などは収入に応じて分担するという考え方ですので、ここは先ほどの財産分与とは考え方が違います。財産分与は、別居した時は別居した時点での財産を分けることとされていますが、婚姻費用は別居していても離婚するまで支払い続けることが必要です。財産分与は実際に夫婦双方で築いた財産であるからという考え方ですが、婚姻費用は婚姻していることそのものを根拠とするからです。

本来渡すべき婚姻費用について、離婚が成立するまでの間に、月々いくら渡す必要があるか、また、未払になっている婚姻費用をいくら支払う必要があるかなどを決めます。これも双方の収入や子供の人数などに応じて金額の相場があります。

 

(4)慰謝料

相手方配偶者が不貞行為を行ったり、DVなどを行った場合、精神的苦痛に対する慰謝料が発生します。不貞行為の場合は、相手方配偶者と不貞行為をしていた不貞相手にも請求することが可能です。

ただし、そういった内容ではなく、単に性格的な不一致などが原因で日常的に嫌な思いをしたという程度では、法的な慰謝料までは発生しません。また、相手方が財産をたくさん持っているからといってたくさん請求できるわけではありません。それは基本的に財産分与で請求する話となります。

 

(5)面会交流

離婚後、親権を持たなかった方も子供の親であることには変わりがないため、基本的に子供と定期的に会い、成長を見守るべきとされています。したがって、離婚後、子供と離れて生活する親が、子供とどの程度の頻度で、どういった方法で面会交流を行うかを決めます。

夫婦としてはどちらも顔も見たくないということであっても、子供からすれば父、母であり、離婚後も両親ともに交流を持つことによって、自分には両親がいると感じられることが、子供の精神的にも望ましいとされています。

もっとも、婚姻中、配偶者や子供に対して暴言や暴力で虐待していたような親であったり、生活態度が著しく不良である親の場合は、面会することでかえって子の精神的に悪影響がある場合もあります。そのような場合は、例外的に面会が認められないケースもあります。

 

さて、次回は、離婚相談の中で最も多い離婚理由である、性格の不一致について述べたいと思います。