幾波法律事務所公式ブログ

全て

自己破産で残る債務

自己破産をして免責決定を受けた場合、残っていた借金は払う必要がなくなりますが、自己破産しても残るものがあります。それは、まず税金です。所得税や住民税などの滞納がある場合、破産免責を受けても支払う必要があります。また、年金や健康保険などの社会保険料も、破産免責を受けても支払う必要があります。もっとも、税金や社会保険料などは、減額はしてもらえませんが、役所に相談すれば、分割納付にしてくれたり、社会保険料の場合は減免申請が...

調停前置主義

法律上の離婚事由として、民法770条は、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と定めており、これらの事由があるときは、離婚の訴えを提起することが出来ると定められています。 しかし、これらの事由があったからといって、直ちに離婚訴訟が提起できるわけ...

相続手続に必要な戸籍等

亡くなった方の相続手続をするにあたり、戸籍謄本等が必要になりますが、具体的に何が必要なのでしょうか。 役所への届出、住んでいた住居の電気・ガスなどの解約、携帯電話の解約など、相続人としてはすることがたくさんあります。他方、手続において、あなたが亡くなった方とどのような関係の方なのか、また、名義人が実際に亡くなったのかどうかなど、手続の相手方においても資料を見せてもらわないと分かりません。 特に、預金の解約、払い戻...

自己破産で残せる財産

自己破産手続は、今の収入や財産の状況から、全ての借金を返せなくなった状態の方が、裁判所へ申し立てて、借金の支払義務を免除してもらう手続です。 理屈上は、手元にある財産について、不動産、自動車、預貯金、有価証券など、全てを手放して借金の返済に充て、残りの借金の支払義務を免除してもらうというのが本来の原則です。しかし、法人の破産の場合はともかく、自然人(法人ではない、普通の人間のことです)の破産において、文字通り何もか...

大昔の借金

最近ご相談があった方で、15年ぐらい前の借金について、貸金債権を譲受けた債権回収会社から請求が来たという方がおらました。実はこういった相談は時々あります。消費者金融やクレジット会社などの借金は、消滅時効期間が5年ですので、5年以上の間(判決を取られている場合は10年)、請求を受けたこともなく、支払ったこともない、債務を認めるような書面を書いたこともないという場合、基本的に消滅時効を援用できます。消滅時効の援用とは、本...

会ったことのない相続人

ある人が亡くなった場合、法定相続人として、配偶者のほか、第1順位は子、第2順位は父母、第3順位は兄弟姉妹と定められています。 例えば父親が亡くなった長男(Aさん)という立場で遺産分割を考えた場合、一般的には他の兄弟や母親と協議することになります。ところが、父親が今の母親と結婚する前に、別の女性と結婚したことがあるとします。その女性との間にも子供がいる場合、その子供も法定相続人となります。Aさんから見れば、腹違いの兄...

財産分与は申立てた方が払うこともある!?

離婚の際に定めるべきことの1つとして、財産分与があります。財産分与は、婚姻期間中に形成された財産の清算です。夫婦いずれの名義かにかかわらず、原則として2分の1ずつに分けます。一般的には、婚姻期間中に購入する自宅や、生活費などの銀行口座の名義が夫になっている家庭が多く、離婚時に、妻の方から夫に対して財産分与の申立てがなされることが多いです。逆に、妻の方に収入が多く、預貯金が多額に上るような場合は、夫から妻に対して財産分...

同性との不貞行為

婚姻中の配偶者が、他の異性と不貞行為を行った場合、不貞を行った配偶者や不貞の相手方に対し、損害賠償請求ができることは、ご存じかと思います。では、婚姻中の配偶者が、他の「同性」と性交類似行為を行った場合、不貞行為として損害賠償請求できるのでしょうか。この点が問題になった裁判例があります。横浜地裁小田原支部の令和4年4月26日判決です。婚姻中の妻が、他の女性と性交類似行為を行ったことについて、夫からその女性に対し、損害賠...

交通事故とひき逃げ

先日のブログで事後強盗について書きました。窃盗が見つかって、店員に暴行を加えると強盗になるという話でした。 似たような話で、車を運転していて交通事故を起こし、人に怪我をさせてしまった場合、それだけでも業務上過失致傷罪になったり、民事で損害賠償義務を負う可能性があるのですが、そのまま逃げてしまい、逮捕されるニュースもよく見ます。 これも、現場で焦ってしまい、思わず逃げてしまったということなのかもしれませんが、逃げた...

窃盗と事後強盗

スーパーで缶ビールを万引きし、警備員に声をかけられ、つかみかかるなどの暴行をして逮捕された男性のニュースがありました。この手のニュースは時々あります。万引きは窃盗ですので、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。スーパーの商品なら金額もさほど高額ではないので、きちんと弁償すれば実刑にならない可能性もあるかと思います。ところが、店員に見つかって逃げるために暴行した場合、事後強盗罪になります。強盗は、5年以上の懲役...